- 掲載日:2013年1月 8日
2013年1月8日
内閣総理大臣 安倍晋三 殿
拝啓
第96代内閣総理大臣ご就任 誠におめでとうございます。自ら標榜される「危機突破内閣」を率いて、存分にご活躍あらんことを切にお祈り申し上げます。
さて、2011年3月11日の大震災の結果とはいえ、東京電力福島第一原子力発電所において、あってはならない過酷事故が起き、国民の皆様に多大のご迷惑をお掛けしてしまったことは、改めて、原子力に携わった者としまして、痛恨の極みであり慙愧に堪えません。原子力関係者はこの教訓を真摯に受け止め、深い反省の下に、原子力の更なる安全確保のため、全身全霊を傾注して取り組んでいくことの必要性を改めて痛感致しております。
新政権におかれましても、福島地区をはじめとする被災地の一日も早い復興という喫緊の課題を抱え、かつまた内政、外交とも未曾有の国家的危機に直面した厳しい政治情勢の中での政策遂行には、誠に多難なものがあろうかと拝察申し上げます。
かつて貴総理からも直接ご高説を伺ったところでございますが、エネルギー施策の立案、実施に際しましては、国民の原子力安全に対する不安に配慮しつつ、同時に、長期的視点に立って、真に国家、国民のためになる政策を立案し、その実現に向けて全力を傾注されることを切にお願い申し上げるものでございます。
私どもはエネルギー問題、なかんずく原子力の活用は国家存立に係る極めて重要な課題であると認識しておりますが、一部の政治家、評論家、文化人等の発言及びマスメディアの報道の中には、エネルギー問題の国民生活への影響を過小評価したり、あるいは、現実を無視し偏った考え方に基づくものも散見され、かねてから大変危惧しております。今回の総選挙の結果は、原子力が、一定の不安はあるものの、我が国の発展のためには必要不可欠な電源の一つと大多数の国民から認められていることを如実に示すものと考えられます。
この機会に、原子力を含むエネルギー問題に関する私どもの率直な見解と要望を申し述べますので、よろしくご検討の上、新政権として政策立案、執行に当たって適宜ご参考としていただければ誠に幸いであります。
敬具
提言者代表 金氏 顯 エネルギー問題に発言する会代表幹事
金子 熊夫 エネルギー戦略研究会会長
齋藤 伸三 日本原子力学会シニアネットワーク(SNW)会長
(上記3団体は、10余年前から、日本のエネルギー政策のあり方を考え、かつ、国民のエネルギー
問題に関する理解を深めようとの趣旨でそれぞれ設立され、活動を続けている団体でございます。 今回の提言に賛同する有志全員139名の氏名は末尾に明記してあります。)
提言と要望
1.エネルギー政策を再検討し、実効性ある基本政策の早期立案推進を
(1)再生可能エネルギー、化石燃料への過度な依存はリスク大
電源構成において原子力比率を大幅に下げ、再生可能エネルギーや化石燃料の比重を高めれば、国民や企業の負担が増え、雇用は減り、日本経済はマイナス成長(GDPの減少)となり、国力が衰退することは明らかです。化石燃料の輸入が増加すれば国富が海外流出し、貿易収支を悪化させるとともに、温室効果ガスの排出削減が困難になります。再生可能エネルギーは合理的な範囲で極力利用拡大を図るべきは勿論ですが、その限界を正しく認識し過度な国民負担は避けるべきです。(再生可能エネルギーと化石燃料の問題点については、添付"提言に関連する補足説明資料"をご参照ください。)
(2)基幹電源として原子力が不可欠
毎年名目3%の経済成長を達成するには、安価な電力の安定供給が必要であり、原子力発電は不可欠です。福島原発事故の教訓を反映させ安全性を高めた原子力発電をあらためて重要な基幹電源と位置づけることが肝要と考えます。
原子力発電プラントは、開発・建設に長期間を要しますので、早い時期に中長期エネルギー計画を示し、より安全性の高い原子力発電プラントを指向・実現すべきでしょう。この事は、福島原発事故を教訓として、技術的に十分可能であると考えます。既設炉を画一的に寿命40年と限定せず、安全性向上対策を行った上、有効活用し、髙経年化対策に多額な費用を要するプラントは、より安全性を高め新技術を活かした新設プラントでリプレースしていくことが望ましいと考えます。さらに、必要に応じて新増設を進めるべきでしょう。原子力の技術開発は継続性が重要であり、一度撤退したら 自力復活はほぼ不可能になり、輸入に依存する以外にありません。
(3)高レベル放射性廃棄物対策・核燃料サイクルは政府が先頭に
原子力発電設備から出る放射性廃棄物のうち低レベルのものは、既に青森県六ヶ所村の施設で処分が進んでいますが、高レベル放射性廃棄物の地層処分に関しては、国際的には40年以上研究され、使用済燃料の直接深地層処分が実施に移されつつある国もあります。我が国でも、過去30年以上にわたり、多方面の関係者により研究されてきた結果として、「深地層処分が適切であり、火山や地震の多い我が国においても、地層処分への適地は広く存在する」として、平成12年「地層処分は研究段階から実施段階に移る」ことが国会で法制化されました。現実には、民間機関による公募方式では12年間具体的な立地に至らず現在に至っています。海外での立地成功例も踏まえ、政府、国会が先頭に立って、国民への理解増進活動と処分場立地推進にあたる必要があります。
我が国は、使用済燃料を再処理し有用なウラン/プルトニウムをリサイクル使用する政策をとって きました。エネルギー資源に乏しい我が国にとって、核不拡散に配慮した核燃料サイクルの推進は、自給エネルギー源を確保するとともに、エネルギー資源輸入のバーゲニングパワー(交渉力)にもなるものです。エネルギー政策は長期的視点に立った確固たる政策とその継続性が重要であり、これが揺るぎますと国内・海外からの不信と不利を招くことになります。
2.原子力発電設備の安全性の確認を適切かつ速やかに行って早急に再稼働すべき
原子力発電所が停止したことにより、化石燃料輸入金額が1年間で3兆円以上増加し貿易収支を悪化させています。今後も化石燃料の価格は不安定です。また、電気や天然ガス(LNG)は多量に備蓄することが困難です。原子力発電所が殆ど停止している現在、10電力のLNG火力と石油火力による発電の割合は70%近くに達しています。これは第一次オイルショック時の石油火力依存割合と同じ状態であり、ホルムズ海峡閉鎖、南シナ海の動乱等のリスクに加え、古い火力発電所も総動員している現状での火力発電所の故障・停止等のリスクを考えると、我が国の電力供給態勢は甚だ脆弱で危険な状況に置かれています。こうした非常事態がひとたび発生すれば忽ち電力不足に陥り、
日本経済は壊滅的打撃を蒙ることになりかねません。予想外の最悪事態に備え、今夏の電力危機を避けるためにも、原子力発電所の早期再稼働が求められるところです。
各電力会社においては、福島原発事故を教訓として安全性を高めた対策(詳しくは文末
"提言に関連する補足説明資料"をご覧ください)が着実に進んでおります。一方、原子力規制委員会による新基準策定作業も精力的に進められ、原案は3月末頃には纏められ、
その後、法制化の手続きに入る予定と伺っています。この間、早期に再稼働を目指し準備が進められている原子力発電プラントに関しては、原子力規制庁のプレヒアリングを開始し、新基準制定後、可及的早期に再稼働出来るようなご配慮を戴くことが極めて重要であると
思料されます。同時に、当該原子力発電所の立地地域の了解を頂く手続きも早期にかつ効果的に進める必要のあることは申すまでもありません。
各電力会社は化石燃料輸入増大により電気代を値上げしており、再稼働が遅れれば更に値上げせざるを得ません。企業の倒産や生産拠点の海外流出を食い止め、家庭の過剰な負担を避けるためにも早急な対応が求められます。
3.エネルギー政策推進、規制、福島復興には実力ある組織と合理的運営が必要
各省庁の利害や管掌範囲を超えて、長期的・総合的視野に立ったエネルギー政策・原子力政策を立案・推進する司令塔となる組織が必要と考えます。国益に沿ったエネルギー政策については、その必要性を国民に正しく伝え理解を得ることを政府のトップが先頭に立って進めて欲しいと思います。
そして、長期的・総合的視点に立った、合理的・科学的なエネルギーの長期計画や原子力安全規制には、国民に信頼される専門家集団が必要です。産業界からも広く知見と能力に富んだ人材を獲得されることが望ましいと考えます。
なお、規制には多様な意見を踏まえた科学技術的評価が重要です。現在、原子力規制委員会の専門家チームにより、原子力発電所の活断層調査が進められていますが、先ず「活断層の定義」を明確にし、設置許可時に関与された専門家を含め広く議論の場を設け、現行耐震設計審査指針との整合性を図りつつ、科学的・合理的な調査と評価の上判断されることが
大切と考えます。
一方、何にも増して福島の復興は喫緊の課題です。チェルノブイリ事故後の経験や海外の知見も 参考に、叡智を結集して除染や避難地域の復興及び廃炉を推進加速するための求心的な組織を早期に設置し、進めていくことが大切です。
また、高レベル放射性廃棄物の処分加速には、国会に特別委員会を設置し、政治主導で、官民一体で取り組んでいく体制を作ることが必要と考えます。
4.エネルギー/原子力/放射線に正しい知識を持つ教育と原子力人材育成に注力が必要
これまで、小中高校段階でエネルギーや放射線に関する基礎的教育が殆ど行われていなかったため、福島原発事故は、国民に過大な不安や、間違った情報流布を生じさせることになりました。
一部の地方自治体では、きちんとした教育が始まっていますが、全国規模で、エネルギー/原子力/放射線への正しい知識を持つような教育を推進して戴きたいと考えます。
また、より安全性の高い原子力技術の開発や、今後原子力発電を導入する新興国に我が国が しっかりと対応するためには、有為な人材を育成することが必須です。このためには魅力ある原子力への未来像を示し、研究、開発の人材育成を謳うことが肝心です。革新的な安全技術の開発や
燃料が溶融しても住民避難を要しないことを目指した次世代軽水炉開発等々将来への明るい展望が必要と考えます。
5. 原子力分野での国際貢献
過去半世紀にわたって営々と築き上げてきた我が国の原子力分野の技術は、福島事故後も引き続き世界有数の高水準にあると広く認められており、我が国との原子力協力を望む国は決して減少しておりません。とりわけアジアの諸国とは、長年親密な協力関係にあり、こうした関係は今後もできる限り維持・発展させていくべきで、福島事故を教訓とし、安全基準の制定をはじめ、安全性を一層向上させた原子力分野での国際協力は、我が国の責務であると考えられます。もし韓国、中国で大規模な原子力発電所事故が起きますと、日本が被害を蒙るのみならず、多くの国に影響が及びます。
また、原子力プラント輸出も我が国の重要な役割の一つです。アジアをはじめ中東、ヨーロッパ等の諸国からは、性能の優れた日本製の原子炉を輸入したいという声が多数寄せられています。すでにベトナムとは、同国の原発建設計画について日本が協力パートナーとなることが2年前に合意されており、さらにヨルダン、トルコ、エジプト等との協力関係も数年来進んでいます。3.11事故により動きが停滞していますので、できるだけ早期に政府が主導して所要の活動が再開されるよう期待します。また、特に3.11以後中断されたままのインドとの原子力協力協定締結交渉についても、日印友好・戦略関係の重要性に鑑み、早期妥結の方向で貴総理が指導力を発揮されるよう強く希望します。
仮に日本が前向きに対応しなければ、これらの国は日本以外の国から輸入せざるをえず、その結果、世界で最も核不拡散に誠実に取り組んできた日本を抜きにして、アジア諸国の原子力活動が行われることになるとすれば、原子炉の安全面はもとより、核拡散防止上も好ましいことではありません。新政権におかれては、是非ともそのような大局的、戦略的な観点に立って強力な原子力外交を展開されるよう切望するものです。
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<提言に関連する補足説明資料>
1. エネルギーについての基本的認識
1−1.各エネルギーと原子力の位置付け
時代の大きな変遷の中、歴代政権は、3.11発生までの半世紀に亘り国家の方針として原子力を基幹エネルギーと位置づけ、民主・自主・公開の3原則の下、唯一の被爆国として民生利用に限定した広範な原子力平和利用を展開してきたという事実を再認識する必要がある。
今回の東北地方太平洋沖地震は、地震調査会も想定外であると言うM9の巨大地震であったが、随伴する津波に関し学際的にも、ステークホルダー間でも津波に対する認識のなさ、原子力規制体制の不備、電力の過酷事故に対する安全対策の不徹底等が重なり、大災害を起こす結果を招いてしまったことは慙愧に堪えない。国民のあいだに原子力を忌避する感情が広まったことも無理からぬことだと考える。しかし、人類としての核エネルギーの利用という視点で考える時、果たして原子力を放棄するという選択が正しいのか熟慮する必要がある。
世界のエネルギー需給の今後の見通しは、世界の各公的機関の発表をみても、開発途上国を中心に大きな伸びが予測されている。一方、それを賄うエネルギー資源としては、化石燃料の他には、太陽光や風力を中心とする自然エネルギーと原子力発電しか期待できないことは明らかである。これ等エネルギーにはそれぞれに便益とリスクがあるが、長期的視野に 立って、総てのエネルギー資源を適材適所に有効活用していかなければ人類の未来はない。
原子力についてはその安全確保と放射性廃棄物の処分が決め手となるが、福島原発事故の苦い経験を踏まえれば、今後、絶対に放射性物質の大量放出は起こさないという覚悟の上で、原子力発電所の安全性を設備と運用管理の両面で極限まで高める努力を継続し、人類のエネルギーとして利用していくことが必要であると考える。
1−2.エネルギーは貯蔵することが困難である
エネルギー・セキュリティーの基本は、エネルギーが必要な時に入手できることである。その手段の一つとして備蓄の問題があるが、多くのエネルギー源は備蓄が難しいことを認識すべきである。
エネルギーの大量備蓄ができるのは、原子燃料を除けば、石油・石炭のような液体あるいは固体の形である。石油については、オイルショックを受け、わが国も膨大な貯蔵タンクを設置し約200日分の備蓄をしている。
他のエネルギーの備蓄状況を見てみると、LNGは極低温保存が必要であり、2、3週間の備蓄が精一杯である。揚水発電は優れたエネルギー備蓄であるが、わが国の貯蔵容量は高々1.5億kWh(平均電力換算1.3時間分)程度である。優れているからと云って増設していくことは難しかろう。 水素での大量備蓄は技術的課題が多く、経済性等考えると困難である。残るは、開発が期待されている蓄電池であり、電気自動車や戸別の蓄電池設置が議論されている。しかし、これとても経済的 負担から考えて、数億kWh(電力換算数時間分)程度が限度であろう。
自然エネルギーは気象不順等に備えるにあたっては、外国との融通が半ば不可能なわが国は特にこの点の考慮が必要である。例えば1週間分の電力(200億kWh程度)に相当するエネルギー貯蔵は実用蓄電池が開発されたとしても如何に困難か考えておく必要がある。
これに比べ原子力は数年分の備蓄が容易、リサイクルも可能であり、エネルギー・セキュリティー上非常に有利なエネルギーであると云えるのである。
2.再生可能エネルギーの限界
再生可能エネルギーの有効な利用は進めなくてはならないが、主力となる太陽光・風力発電についてどの位のエネルギー量を確保できるかを見定めることが極めて大切である。太陽光や風力は必ずしも必要な時にあるとは限らない変動エネルギーである。ドイツの研究機関や国際エネルギー機関(IEA)のレポートが報じるところによると、安定電源として勘定に 入れられる割合として、風力発電で発電容量の5~8%、太陽光発電はゼロと考えられている。したがって、供給力不足に備えてほぼ100%に近い別電源によるバックアップが必要となる。
仮に我が国で全発電量の30%を太陽光・風力で賄おうとすれば、太陽光2億キロワット、 風力5,000万キロワットの施設を建設する必要があり、これは現在の10電力会社の発電容量2億キロワットをはるかに越える設備投資となる。そしてピーク需要(1.6億kW)相当のバックアップ電源が依然として必要であり、同時に送電網の大幅拡張も必要となる。正に三重投資という重い経済的 負担をした上で3割の発電を得る結果となろう。このような変動電源はベース電源にはなりえない。太陽光・風力は化石燃料節約のための補助的な電源と考えるべきであろう。
3.化石燃料の生産ピーク
化石燃料の供給力について楽観的な見方もあるようであるが、将来像は決して明るいものでは ないと考えるべきであろう。先ず、世界の原油生産量をみると、2005年から頭打ちの様相を呈し、 いつ下がり始めてもおかしくない状態にある。一例として、オーストラリア政府が試みた将来の生産 シミュレーションでは、世界の原油生産量は2017年にピークを迎え、2050年にはピーク時の半分程度、2100年には15%程度に低下することを予想している(下図)。需要が増大する新興国(中国、インド、中東諸国)等との石油争奪戦は凄まじいものになることが今から予想されるところである。
天然ガスについては、米国ではシェールガス革命が叫ばれているが、楽観できる状況にはないと考えるべきであろう。シェールガスは非在来型資源に分類されるもので、在来型資源に比べてその回収には多くのエネルギーと、手間と、時間と、コストがかかり、環境汚染のリスクもある。わが国が
非在来型資源に依存する計画を立てることはエネルギー・セキュリティーの面で大きな問題であろう。 世界のガス田の発見ピークは1970年代であり、油田の発見ピークに遅れること10年であった。
石油と同じように在来型資源の生産減退が将来の全体供給量を制約してくることを十分考えておく必要があろう。
4.福島原発事故を教訓とした再稼働のための安全対策
東京電力福島原発事故の教訓に基づき旧原子力安全・保安院を中心に用意された30項目の 事故対策が、各原子力発電所において着実に進められている。外部電源設備の信頼性向上・迅速な復旧対策、浸水防止対策や非常用電源の多重化・多様化など所内電気設備の機能強化、冷却設備の津波対策や代替注水機能強化など冷却機能の確実な維持、ベント機能の改善や水素爆発防止対策など閉じ込め機能確保、そして管理・計装制御機能等の信頼性向上と非常事態への対応強化である。これら「ステップ 1」(比較的短期で実現すべき対策)としての安全対策が整った発電所は、速やかに再稼働を進めるべきである。
5.長期のエネルギー供給には原子力が不可欠
長期のエネルギー確保に再生可能エネルギーおよび化石燃料ともに問題があることを考えると 資源貧国の我が国にとって原子力発電のオプションを欠くことはできない。輸送・備蓄・利用を通じて最も便利な石油の生産量減退に対処し、「小さな量の投入エネルギーで大きな量のエネルギーを獲得できるエネルギー源」がますます重要となる。原子力発電はそのために最も適した手段である。原子力発電を放棄することは、将来のエネルギーを考えた場合、この点でも大きなリスクがあり、禍根を残すことになろう。
さらに世界では既に430基余の原子力発電所が、原子力放棄を決めたドイツ等の国を含め、依然として稼働中で、特にロシア、中国、インド、韓国をはじめエネルギー需要の増加が見込まれる国は原子力発電所の新増設を加速して進めている。エネルギー需要の増大しつつあるこれらの国が、これを放棄することはありえないと考えるべきであろう。何時、近隣の国々で原子力事故が発生しないとも限らず、その時、事故発生国だけでなく日本も被害を蒙る恐れが多分にある。このためにも、我が国は、世界最高レベルの安全な原子力発電を推進し、これらの国における原子力安全確保に関し指導的な役割を継続的に果たさなければならない。
国際的にもNPT傘下の非核兵器国として、核燃料サイクル技術を有する唯一の国である日本が原子力を放棄し、その発言力をも放棄することは、世界の核拡散防止上も、原子力先進国として許されないことであろう。
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提 言 者 (50音順)
青木直司、秋元勇巳、浅井信雄、荒井利治、安東桂吾、安藤 博、石井 亨、石井正則、
石井陽一郎、石川迪夫、石塚隆雄、出澤正人、犬飼英吉、岩瀬敏彦、岩本多實、上田 隆、
江﨑博義、大野 崇、大橋弘士、小笠原英雄、岡田雅年、小川修夫、小川博巳、奥出克洋、
織田満之、小野章昌、小野澤輝夫、勝又徳明、加藤 仁、加藤洋明、可児次郎、加納時男、
金氏 顯、金子熊夫、亀ヶ谷勝之助、河田東海夫、川西康平、河原 暲、岸田哲二、喜多 薫、
北田幹夫、栗原 裕、黒川明夫、黒木義康、黒田 眞、軍司 貞、光畑英哉、小杉久夫、
小須田紘一、後藤征一郎、後藤 廣、小林孝男、紺谷健一朗、近藤奎五、西郷正雄、税所昭南、斎藤 修、齋藤健彌、齋藤伸三、齋藤 隆、斉藤健彦、坂元成夫、櫻井三紀夫、佐藤祥次、
実松俊弘、山東龍彦、篠田 度、嶋田昭一郎、清水彰直、白山新平、末木隆夫、末廣和康、
菅原剛彦、高島洋一、高野元太、高間信吉、宅間正夫、太組健児、竹内哲夫、多奈部純一、
玉井輝雄、玉尾重雄、田村聖和、力石 浩、長 惇夫、柘植綾夫、辻萬亀雄、坪谷隆夫、
寺澤倫孝、寺田邦夫、土井 彰、富樫利男、冨岡 洋、中尾 昇、長尾博之、中神靖雄、永崎隆雄、中村尚司、中村 進、夏目暢夫、奈良林直、西村 章、野島陸郎、野村 勇、羽澄大介、早坂房次、林 勉、早野睦彦、針山日出夫、樋口勝彦、平沼博志、平野泰直、古田富彦、星 璋、星 蔦雄、堀 雅夫、本郷安史、前川則夫、前田 肇、益田恭尚、松岡 強、松永一郎、松永健一、松村一雄、水野雄弘、三谷信次、三村 泰、宮﨑慶次、武藤 章、村島正康、村田 稔、師岡愼一、山崎吉秀、山田明彦、山田健三、山本康典、吉島重和、路次安憲、若杉和彦 (提言賛同者合計139名)
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★この提言に関するお問い合わせは下記にお願いいたします。
金氏 顯(かねうじ あきら):電話 080-3201-7621、 Eメールkaneuji@amber.plala.or.jp
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