原子力最大の課題は何かーそれは今後30年間の端境期対策だ
エネルギー問題に発言する会 林 勉
原子力危機意識の醸成を!
今年の原子力学会春の大会では、特別セッション「シニアと学生との対話」が行われた。シニアは「エネルギー問題に発言する会」の有志メンバーである。この時の対話の様子は「月刊エネルギー」5月号に詳しく報告されている。シニア側からは、エネルギー危機としてのオイルピークの話や我が国原子力の危機として、「失われた10年」「これから失われる30年」等について熱っぽく語られた。これに対し、学生側からは、今回の対話を通して、このような危機意識を肌で感じることができたこと、また自分たちの世代の問題として強く意識することができたとのことであった。このようなエネルギー、原子力危機意識は漠然とは持っていても、原子力関係者といえども自らの問題としてとらえるにはあまりにも問題が大きすぎることから、誰かがまたはどこかの組織が動くべきであるとの認識で、放置して成り行き任せになっているように思われる。しかしわが国の原子力の危機は深刻であり、放置できない問題であり、原子力関係者全てがこの危機感を共有して、その対策の実現に向けて努力すべきであると考える。
わが国の原子力危機とは、
まず下図を見ていただきたい。この図は原子力発電所の建設基数を10年間隔で示したものである。2000年以前は各10年間で15〜21基が建設されてきた。2001年以降は、建設がほぼ確定したもの、および確度が高いと思われる予測のものを加えても、各10年間で3〜4基しか見込むことができない。この状態が30年間も継続する予測である。2031年以降は古いプラントのリプレースが寿命60年後に発生すると予測したものである。今後の30年という長い新規プラントの端境期をどうするかということに、原子力関係者は強い危機意識を持って直面しなければならない。
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