「我が国の高速増殖炉開発に関する提言案」につきましては、 労を惜しまぬ(第4次案)の取り纏めのご努力に、敬意と感謝の念に堪えません。それ以降も、多くの皆様の多面的な議論が継続しておりますが、<提言3・国際協力>に関連して以下に卑見を述べさせて頂きます;
「東アジア地域のエネルギー安全保障の確立」との視点について
現下の国際政治・経済的環境から見れば、「我が国のエネルギー安全保障」を確立するためには、欧米ならびに中国はじめアジア域内諸国とのエネルギー争奪戦を勝ち抜かねばならないが、争奪戦の行き着く先は武力に頼り、覇権を求める世界、戦争をも辞さない嘗ての過ちが彼岸にある。我が国は過去の苦い経験を糧とし、新たな発想が求められる所以であるが、一国主義を脱し、東アジア地域のリーダーとしての視点に立ち、「東アジア地域のエネルギー安全保障の確立」を訴えるべきではないかと考える。
ASEAN+日中韓三国と、必要に応じてロシア・北朝鮮(国際社会のテーブルにつかせ、エネルギー支援をする重要な契機にもなり得る)を加えた東アジア地域に的を絞り込んで、我が国がリーダーシップを発揮することが現実的ではないかと考える。身近な「東アジア地域のエネルギー安全保障の確立」のために、我が国に何が出来るかを考え、貢献策を関係諸国に提案することこそ大切ではないか。
国際的枠組みの構築や、エネルギー環境問題の研究機構、あるいはフォーラムの結成などの提案に際しても、このようなスタンスに立っての提案でなければ、真の賛同は得られないのではあるまいか。日中両国は、ロシアからのパイプライン敷設の問題、海底ガス田と排他的経済水域設定の問題など、資源外交上の難問を抱えているが、一方では、南シナ海諸島に絡む中国・ベトナム・フィリピン・マレーシア・ブルネイ・台湾など、諸国間のエネルギー利権争い、領有権争いも深刻化している。エネルギー利権問題の解決にも、また、中東から同海域を経由するシーレーンの防衛問題などを関係諸国と協議するに際しても、我が国のエネルギー国家戦略の基本的スタンスを、「東アジア地域のエネルギー安全保障の確立」に置くべきではあるまいか。
このための方策として、嘗て次の「四つの構想」を経済産業省へ提案した(詳細は省略、添付参照);
「東アジア地域に国際エネルギー市場を」
「アジア原子力地域協力機構(ASIATOM・金子熊夫氏提唱)」の創設
「東アジアのエネルギー協調」ロードマップを作れ