EEE会議(核燃料サイクル論争:再処理、PUREX法など........................................................03.11.28
小生うっかりしてEEE会議のHP上の掲示板(会員専用)をしばらくチェックし忘
れておりましたが、今朝久しぶりにチェックしたところ、次のようなメール(11/21
付け)が書き込まれておりました。 投稿者は9月末に同掲示板に「再処理推進論者
の説得力」という件名で意見(日本が採用している現行の再処理法=PUREX法に
問題ありとする内容)を述べられたのと同一の方(EEE会議一般会員、ハンドル
ネーム:5628)のようです。
この最初のメールに対しては、その後日本原子力研究所の佐藤 治氏より反論(10
月6日付け)が寄せられ、続いて同氏や豊田正敏氏らの間でPUREX法に関して専門的
な論争が行なわれました(これらのメールは「核燃料サイクル論争:PUREX法に
ついて」という件名で、すべてHPに掲載されております)。
今回の「5628」氏のメールは、どうやら佐藤氏の上記コメントに対する再反論のよう
ですが、必ずしもご趣旨は小生にははっきりしません。しかし、真面目なご投稿だと
思いますので、ここに改めてご紹介する次第です。皆様からの反論やコメントを歓迎
します。
--KK
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題名: 佐藤治様へ 投稿者名: 5628 投稿日: 2003/11/21 (Fri)
14:11:53
佐藤治様
こんにちは、5628です。
さて、メーリングアドレスのご指摘でありますが、ピュレックス法も同じく産業的
・環境的に成立しえないと愚考します。
一つは、いかに基準が厳しいとて、その具体的基準が産業界の自主基準か省令か国
会で成立した法律であるかで、法的拘束力が異なると考えるからです。
特にピュレックスは原理的に汚染を起こしやすい(当該方法を産業的に行う場合、
構造物とする材料も多く、又当該方法を行う場合の溶媒の量やそれらの性質にも由来
する)ため、現に多くの汚染事故も発生していますし、またこの方法の危険性はウラ
ルの惨事となって現れてもいる。
つまり、安全性を原理的に担保できず、この方法の安全性はただただ設計に求める
しかないということです。
環境汚染防止面もまた同じ。
特に問題と考えるのは、装置が大型であるため、その装置が使用期間を終えて処分
しようとするとき、廃棄処分場の目途が立たないということです。
(#佐藤様、産業というのは研究や調査とちがって、できる限り全ての物事の後先を
考えて行う重い責任があるのでは?
そもそも、後先を考えないでやったところ
に、原子力の今日があるわけですから。)
それに、六ヶ所村の地下水量の問題そして三沢基地が近くにあり、たびたび落下物
による破壊や軍用機の墜落事故が近辺で発生しており(六ヶ所村固有の問題)、さら
にテロの絶好な標的にもなり得、そのときの耐テロ性に問題がある(テロの問題)。
さらに問題なのは、以下のようなことです。
例えば、これによる方法で操業した場合、ある時点で設計や材質の欠陥から自主基
準や法令・省令による基準値を超えて放射性核種を排出せざるを得なくなったとしま
しょう。
そうした時、操業を停止できますか?
停止しない場合もある。
どういう事かというと、司法なり行政府なりが「核サイクルによる利益と操業停止
による環境保護の利益を比較考量」して、「核サイクルによる利益が勝っている」と
し、「違法あるいは何らかの基準に違反しているが操業停止すべきではない」という
判断をして操業を維持させ、初期に設けていた基準を緩和させてしまうことも考えら
れるのです。
ゆえに、極端ですがPUREX法再処理も弗化フレーム法などの乾式再処理と同列の段
階にあると位置付けるべきです。
それに仏の再処理工場は、事故続きらしく、見込み量の三分の一乃至は数パーセン
トの処理量に落ちています。
もう一つ、私の無理解から来るものかもしれませんが、
「国内のエネルギー源保持」を目的とする核燃料サイクルを必要とする社会的状況や
経済的状況や国際政治的状況について、どういう事を想定されていますか?
これについては単に、(現存する)軽水炉燃料を備蓄するだけで宜しいと思うので
すが、どうですか?
そもそも、
1.「ウラン資源の有効利用」としての「核燃料サイクル」の要請
と
2.「安全かつ安価に原子力による電力を提供する」という電力業界の義務
の二つは本来全く関係が無い事であり、産業界は「核燃料サイクルに安全性と低コス
トの見通しが明確でない限り、現在提案されている核燃料サイクルを、いかに有効利
用のためといえども、決して受け容れてはならない」と確信しております。
なお、そうした事々からすると、電力業界は海外や民間を含めた諸種研究機関に投
資していき、日本では日陰で扱われている「トリウム弗化物燃料熔融塩炉サイクル」
のようなものの研究開発にも投資するなど、あらゆる可能性を等しく追求するのが国
民の公益事業たる電力事業者の義務であります。
国家を支えているのは電力でありますから、国家などアテにせず、電力業界は全て
のあらゆる可能性を等しく追求すべきです。
昭和30年代後半あたりに「高速増殖炉が有望」とし、今の「高速炉によるPuサイク
ルの衰退・凍結」が見抜けなかったのが日本の調査グループや研究者たちであったの
ではないですか?
その失敗について、反省もせず、責任もとろうともせず、これらよりさらに必須で
あるところの調査の失敗の分析もしない。
そういう事や見識にもかかわらず、ピュレックス法による再処理を強引にやろうと
したり、弗化フレーム法などの乾式再処理を切り捨てようとしたりしても、それで果
たして国民に説得力がありますか?
それと佐藤様、BBSで私が書いたことをメーリングアドレスで返事してくれても、
困るのです。
ここのBBSは、2ちゃんねるやYahoo掲示板のような「厳しい掲示板」ではないので
すから。