EEE会議(Re:エネルギー基本計画案に対する意見)......................................................2003.8.28
さらに次のコメントも、ご参考まで。--KK
**************************************
件名:「エネルギー基本計画案に対する意見」
1.氏名(フリガナ) 古川 和男 (フルカワ カズオ)
3.職業/所属 トリウム熔融塩国際フォーラム 代表
4.ご意見の概要(100字以内で記載)
(i) 具体的かつ迫力ある原発開発計画が、全く見えない。これでは、京都議定書
の約束は勿論、停電対策さえ危険にさらされるのではなかろうか?
(ii)「事業者」のあり方について、抜本的な再考を期待したい。
5.ご意見及び理由(本文)
(i) 冒頭に「本計画は、10年程度を見通して、――あるが、――、より長期的な展
望
にも言及することとしている。」と記してあるが、少なくも第2章、第3節、1.
「原子力の開発・導入」においては、現軽水炉路線をさらに発展させる高速増殖炉
開発計画が政策の根幹と聞かされているにも関わらず、一語も現れず、第3章、第
2節、1 に半行の言及があるのみに過ぎない。
これで「核燃料サイクルの確立」を論じても空文に近いのではなかろうか。其処
におけるプルサーマル計画の整合性が見えないのみでなく、高速増殖炉開発の責任
あるかつ志気高い推進は期待すべくもないように見受けられる。
そのような意欲の衰退を見るにつけ、改めて筆者らがかねがね指摘している所
の、高速増殖炉を中軸とするウラン-プルトニウム増殖サイクルの矛盾を良く再検討
し、原子力委員会も認めているはずの「革新炉型」の本格的検討こそ、国家の主要
責務であろう。ここには当然、トリウム-ウラン増殖サイクルの検討も含まれるべき
である。 その検討を経た上で、もし現政策がより良いものであることが確認でき
たならば、現在の数倍の迫力で国民にその必要性を説得できるであろう。
これによって、是非国家は自信をもって国民に受容信頼を受けうる核エネルギー
を提供して貰いたい。そうでなければ、日本の救済不可能は言うまでもないが、地
球環境救済は全く絶望的となる。 なお、その意味でも、これから育てる本格的
な原発産業は、世界に通用しなくては全く日本救済にもならないことを、積極的か
つ具体的に再確認、明記願いたい。
(ii) 第4章、第2節、2.の「事業者の役割」に関して、現在のような発電・売
電主体の電力会社体質では、少なくも原発産業の担い手には不適合と考える。真の
技術の担い手が下請け、と言う事態を招いている。開発能力を持ったエネルギー企
業体が、事業者となるべきであろう。これは「電力自由化」問題と直結しており、
また場合により配電事業の独立とも関連するのだろうと考える。もっと積極的な体
質論議が始まることを期待する。
戦後日本にては現行の体制が成功したにしても、現在の日本の置かれている産業
技術状況は全く異なってきたのだと思う。また、R&D(研究開発)の深刻な真意
を、日本社会は遂に体得していないので、不必要な社会混乱を招いているのではな
いかとも勘ぐる。(本来、商品設計は研究を要求してはならないものである。)
もっと直接的に表現すると、現在の原発はR&D途中の不完全商品である。従っ
てそれを使いこなせるのは設計製作者である。しかし、これは世界と地球環境に必
須かつ超巨大な産業であって、日本社会としても世界に先駆けて世界に技術を売
り、共存共栄の柱として育成すべき産業であろう。そのための法的なものを含めた
社会整備を急がねば、原発産業は消滅するであろう。日本・世界も生きて行けな
い。
(以上)