Subject: EEE会議(Re:日本の原子力は? 核燃料サイクルは?)
Date: Wed, 15 Jan 2003 08:18:31 +0900
From: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>
各位
小生の最新メールで、「日本核武装論」が日本の核燃料サイクル計画、とくに
六ヶ所村再処理工場問題に与える影響に関する懸念を表明しておきましたとこ
ろ、これに対し早速、日本原子力学会の再処理・リサイクル部会幹事天野 治
氏から次のコメントを頂きました。更なる議論を期待しております。
金子熊夫
************************************
六ケ所の再処理については、再度核不拡散や高レベル廃棄物の処分やリサイク
ル路線の構築のための時間軸など建前的総論から技術的各論について、オープ
ンに議論する時期にきていると思います。
そして、それを国内外に発信することも大事です。
一番大事なことは、せつな的にならないことです.
欧州の歴史的構築物の中で、彼らは、壁画などの修理を100年というオー
ダーで捉えることが
良くあります.そして自分の人生の時間は、100年、あるいは構築されてか
らの1000年に比べて、
短いため、その時を通りすぎるだけと考えます.
六ケ所再処理も、東海再処理からの流れの中で核拡散につながる再処理を実施
する権利は金子様を始め先人たちの努力で国際的に勝ち取った歴史的事業で
す。
この歴史事業を子々孫々までの今後100年あるいは1000年以上のエネル
ギー保障の中でいかに育てていくか皆で考える必要があります.
核不拡散をどのように高めていくか、高レベル廃棄物処分場を有効に利用する
ための燃料サイクルなど、
原子力学会 「再処理・リサイクル部会」では、公的に議論を開始していると
ころです.
「再処理・リサイクル部会」のHPは
http://wwwsoc.nii.ac.jp/aesj/division/recycle/index.html
再処理・リサイクル部会幹事
天野 治
(本件は転送可です)、
On Tue, 14 Jan 2003 17:38:45 +0900
kkaneko <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp> wrote:
> * * *
>
> ところで、小生が最近益々心配になっているのは、実は、こうした海外の
日
> 本核武装論が日本の原子力発
> 電計画、とりわけ核燃料サイクル計画に及ぼす影響であります。日本が使用
済
> み核燃料を再処理して抽出したプルトニウムをトン単位で保有していること
は
> 世界中に知られています。「もんじゅ」のトラブルで高速増殖炉計画が宙に
浮
> き、いままた東電データ不正事件でプルサーマル計画が大幅に遅れ、未利用
の
> プルト
> ニウムが溜まる一方です。いくら専門家が、「日本が持っている原子炉級プ
ル
> トニウムは兵器級プルトニウムとは組成が大違いで、そう簡単に核兵器には
な
> らないから心配無用だ」と釈明しても、残念ながら、なかなか納得が得られ
そ
> うにもありません。
>
> 実は、日本の専門家の間にも、「原子炉級プルトニウムでも粗製核爆弾なら
十
> 分製造できるはずだ。それに、日本には少量ながら準兵器級の高濃縮ウラン
> (研究用)があるし、遠心分離法による濃縮技術はすでに確立したものと
なっ
> ている。だから世界から疑いの目で見られても仕方がない」という意見も聞
か
> れます。当EEE会議でも、昨年春から夏にかけて、小沢自由党党首や福田官
房長
> 官、安倍官房副長官らの発言をきっかけに日本核武装問題が話題となった際
> に、この兵器級プルと原子炉級プルの問題についても相当突っ込んだ議論を
し
> たことは皆様のご記憶に新しいところです。
>
> 実は、先日(1月7日)ご紹介した、昨年末ワシントンで開かれたカーネ
> ギー平和財団主催の国際会議でも、北朝鮮核問題とは別のセッションで、米
国
> の核管理協会(NCI)やグリーンピース等の反原発、反プルトニウム運動家
た
> ちが、六ヶ所村の再処理工場問題にしつこく言及し、日本核武装論に油を注
ぐ
> ような発言を繰り返しております。これに触発されたのか、ワシントンでは
一
> 部の政治家達までが日本の核燃料サイクル計画に批判の目を向け始めている
と
> いう情報もあります。クリントン政権時代とは違って、ブッシュ大統領の共
和
> 党は基本的に原子力賛成であり、日本の原子力政策にも理解があるとされて
い
> るので、それほど心配することはないとは思いますが、要注意であることは
否
> 定できません。
>
> いつまでも「日本核武装論は米国人の勝手な妄想だ」とタカをくくってば
か
> りいると、思いがけない方向に議論が発展してゆく危険性がないとは言えま
せ
> ん。新年早々不愉快な話題で恐縮ながら、日本の原子力関係者にとって「頂
門
> の一針」となれば幸いです。
>
> 以上、長くなりましたので、この辺で一旦止めますが、拙論に対し忌憚のな
い
> ご批判を歓迎します。
>
> 金子熊夫